FAQ
よくあるご質問
- Q 固定残業代の注意点を教えてください。
- A. 固定残業代は、法令に根拠を有する制度ではなく、労使合意を前提とした制度です。そのため、不適切な運用により労使紛争が発生した場合に制度が無効と判断されるリスクがあり、遡及的に大規模な未払残業が発生する恐れがあります。近年の判例傾向としては「制度の透明性と労働者からの検証可能性」が重視される傾向が強くなっています。
【「時間外労働等に対する割増賃金の適切な支払いのための留意事項について」(基監発0731第1号 平成29年7月31日)】
労働基準法第37条が時間外労働等について割増賃金を支払うことを使用者に義務づけていることには、時間外労働を抑制し、労働時間に関する同法の規定を遵守させる目的があることから、時間外労働等に対する割増賃金を基本給や諸手当にあらかじめ含めて支払っている場合には、上記1を踏まえ、次のことに留意する必要があること。
(1)基本賃金等の金額が労働者に明示されていることを前提に、例えば、時間外労働、休日労働及び深夜労働に対する割増賃金に当たる部分について、相当する時間外労働等の時間数又は金額を書面等で明示するなどして、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを明確に区別できるようにしているか確認すること。
(2)割増賃金に当たる部分の金額が、実際の時間外労働等の時間に応じた割増賃金の額を下回る場合には、その差額を追加して所定の賃金支払日に支払わなければならない。そのため、使用者が「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日付け基発0120第3号)を遵守し、労働時間を適正に把握しているか確認すること。
- 固定残業代制度を適法に運用するために、次の観点が重要と考えられています。
① 明確区分性(基本給と固定残業代が明確に区分されていること)
② 対価要件(割増賃金の対価という主旨で支払われていること)
③ 差額支払合意(固定残業代を超える割増賃金が発生した場合は差額を支給すること)
④ 手当金額及び残業時間数の明示(賃金規程、労働条件通知書、給与通知書等)