FAQ

よくあるご質問

Q 労基署調査で重点的にチェックされるポイントはなんですか
A. 主なポイントとしては「長時間労働」「賃金(主に残業代)の未払い」「労働時間の管理」などがあげられます

労基署の調査目的は労働基準法、労働安全衛生法などの労働関連法令について、企業が法律違反をしていないかチェックをし、違反状態である企業に対して指導をし、改善をしてもらうことです。しかしながら労働基準法、労働安全衛生法はとても多くの取り決めがあります。そしてその中でも労基署が特に重点的にチェックする項目は大きく3点です。

 

Ⅰ.長時間労働

事業所で長時間労働が発生しているかどうかをチェックし、長時間労働が発生している場合は労働時間の削減をするように指導が入ります。ここでいう長時間労働ですが、大きく2つの点があります。

 ① 36協定で定めている時間外労働の上限時間を超えているか

 ② 1ヶ月の残業時間が常態的に45時間を超えているか

まず①の時間外労働ですが、これは36協定で定める時間外労働の上限時間を超えて労働している労働者がいないかをチェックしています。もし超えている労働者がいる場合は、法律違反となり、36協定の上限時間内に時間外労働を抑えるようにという指導が入ります。

次に②ですが、これは36協定で定めている上限時間を超えていない場合でもチェックがされ、なるべく1ヶ月の時間外労働が45時間を超えないようにという指導が入ります。これは法律違反というよりも労働者への安全配慮義務の観点からのチェックです。1ヶ月45時間を超えて残業をすると、過労死をはじめとした健康障害が起こる可能性が高まるということから、その健康障害の予防として指導がなされます。

 

Ⅱ.賃金(主に残業代)の未払い

 特に残業代(時間外労働手当、休日労働手当、深夜労働手当)の未払いがないかどうかをチェックされます。法律の考え方として、残業代は、労働者に残業をさせることによる会社へのペナルティという意味合いもあり、残業をさせた場合の賃金については、会社に通常の賃金より高い率(金額)で支払いをさせることにより、残業時間の抑制を図ろうという意図があります。また違う側面として、会社が残業代を支払っていない場合は、どれだけ労働者が働いても労働者の賃金(会社の費用)が変わらないことにより、残業代の未払い自体が長時間労働の温床になるという側面もあります。よって労基署はこの残業代については支払いがきちんとできているかをチェックし、支払いができていない場合は、過去にさかのぼって残業代を支払うようにという指導が入ります。

また、残業代の支払いができている企業についても、その残業代が法律で決められている計算方法で計算した金額通りに支払われているかについてもチェックされます。例えば全員一律で残業1時間あたり1,000円を支払っているという会社の場合、残業代を支払っていないわけではありません。しかしながら、残業代の計算は労働者の個々の賃金額に応じて計算をするべきものであり、労働者個々で残業1時間あたりの金額は異なります。よってこのような場合はきちんと法令に基づいた計算を行い、不足額がある場合は、その差額を遡って支払うように指導がされます。

 

Ⅲ.労働時間の管理

労働時間の管理は労基署調査の根幹といえるべき項目です。そもそも労働者に対する労働時間の管理がずさんなものである場合や正確な労働時間の管理ができていない場合は、上記のⅠ、Ⅱについても労基署は適切な指導をすることができません。

よって、労基署調査ではまず、労働者の労働時間の管理方法や管理状況をチェックします。そして例えば労働者の自己申告による労働時間の管理方法を取っていた場合など、その労働時間の記録が事実を表しているかどうかが疑わしいときは、その記録の裏付けを取ることもあります。その方法の一例は以下の通りです。

 ・労働者へ直接ヒアリング
 ・労働者が使用しているパソコンのログ時刻の確認
 ・事業所のセキュリティの開錠、施錠の時刻の確認
 ・始業前、もしくは終業後に定期的に行っている業務の確認とその時刻がわかるもの
 (例えば始業前の朝礼、終業後のミーティングなど)

労基署は上記の方法により、会社が正しく労働時間の管理をしているかどうかを確認し、労働時間の管理状況が事実かどうか疑わしい場合は、適切に労働時間を管理するようにという指導が入ります。また、状況によっては、過去の労働時間についても労働者へのヒアリングを行い、正しい労働時間を把握し、それにより残業代が発生する場合には、残業代を支払うようにという指導が入る場合もあります。

労働時間については、労基署調査の根幹をなすものであるため、きめ細かくチェックされる項目です。

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