FAQ
よくあるご質問
- Q IPOに向けた労務管理のスケジュールはどのようになりますか?
- A. N-2期(直前々期)までに「労務DD」「課題の把握」「適法体制整備」を完了させ、N-1期(直前期)で「適法運用実績」を積み重ねてモニタリングと改善を行っていくというスケジュールが一般的かと思われます。
IPOに向けた適法な労務管理体制を確保していくために、数百項目の個別論点があります。これらの課題出しと対策検討を社内管理本部の人員のみで行うことは事実上困難であり、社外の専門家の活用が必要となります
対策を成功させるキーポイントとなるのは「課題の把握」であり、多くの主幹事証券会社では、主幹事契約前後の比較的早い段階での労務DD(労務デューデリジェンス)を推奨しています。IPO労務DDは、労務版ショートレビューともいうべきもので、株式上場に向けての課題を抽出するための労務調査です。具体的な対策の方向性を決めるために、ステージ初期で行う労働法令上の総合診断となります。早い段階で実施することで、次のような効果が期待できます。
- (1)「サービス残業があるようだ…」といった印象論や体感値ではなく、事実ベースの個別論点で把握できるようになります。(「就業時刻後の打刻は勤務実態に添って正しく行われているが、始業時刻前の早出残業が申告されていないことが主要なリスクである」など)
- (2)労務については管理本部の懸念が経営や現場と共有できていない企業が多いと思われます。社外専門家の調査レポートをご活用いただくことで、社内認識を共有しやすくなります。
「現場と管理本部」「経営と管理本部」で発生しやすい温度差を減らすことができます。 - (3)労務管理の不備や未払残業問題は、労使関係を動揺させ、気が重い経営課題です。
問題が大きすぎるがゆえに、着手できずタブー化してしまうことが多く見られます。
大きな問題から小さな個別論点へ、対策を具体化することで、一つ一つ着実に解決することが可能なサイズに問題を再定義します。(例えば「未払残業」という大きな問題は、「勤怠システムの設定」「残業許可制の運用」「PCログとの乖離(かいり)」「固定残業代の定義や合意」「差額残業の支給」「残業単価の算定(算定賃金や平均所定労働時間)」など、個別論点に分解することで解決が見えてきます。
- (4)労務管理は過去からの慣行を引きずっていることが多く、「惰性」と「現状否定」と「責任論」の間でネガティブトーンの議論になりやすい論点です。
そうした議論に終止符を打ち、「今何をなすべきか?」という現実的かつ建設的な議論に転換します。
- (5)出資者、主幹事証券会社、監査法人等の関係者間の疑心暗鬼を解消し、論点を共有して、同じ方向性を向いてIPO準備を進めることが可能になります。
問題の全容が見えていない場合、リスクの規模感が見えないため、疑心暗鬼に陥りやすく、「疑わしきはすべて清算してください」とか「労働者から何も言ってこないのだからたぶん大丈夫だろう」といった極端な議論に陥りやすくなります。労務監査を実施することで、課題が個別論点で把握され、具体的なタスクに落とし込むことができるようになるため、関係者と方針共有をしながら、役割分担し、確実な対策を実施することが可能となります。