FAQ
よくあるご質問
- Q 何から手をつけて良いのか分かりません。IPOに向けた労務管理の重要論点を教えてください。
- A. 専門家による労務監査をおすすめします。(Q1もご覧ください。)ご要望に合わせて調査スコープ・実施期間・費用等を柔軟にご提案することが可能です。
一般的な事例からしますと、多くの場合は次の5つの論点が主要論点となります。
- (1) 雇用区分管理
「正社員」「契約社員」「準社員」「臨時社員」「パートタイマー」「アルバイト」「嘱託社員」などの雇用区分(処遇の違い)と名称が整理され、就業規則や労働契約書の上で権利関係が明確になっているかの確認が必要です。規程と実態が異なっているケースが多いです。
合わせて、外国人、出向、派遣などの特殊な雇用区分について法的な規制を踏まえて、適法な処理が行われているかについても確認が必要です。
また近年増えてきている、フリーランサーや個人事業主をビジネスパートナーとして活用する業務委託や準委任契約については、労働契約と誤認されないように明確に区別して管理されている等が確認されます。
- (2) 事業場管理
労働法令は、法人単位ではなく、事業場単位で法令適用が行われます。
事業場ごとの、労働保険番号や雇用保険適用事業所番号の管理、就業規則の届出、労使協定の締結や届出が、事業場ごとに漏れなく行われていることが必要です。
- (3) 勤怠管理
勤怠記録は、あらゆる労務管理の基礎情報です。不備ある勤怠管理の上に、いかに精緻な規程や運用を積み上げても、それは不備ある労務管理になります。
「勤怠システムの設定」「勤怠記録の真実性」「変形労働制の適法運用」等の論点について個別検証が必要です。
- (4) 残業代処理
IPOに向けた労務管理の最大の焦点になります。「未払残業があるかもしれない…」といった包括的、漠然としたとらえ方では問題解決には至りません。未払残業は将来的な簿外債務になりますので出血に例えられます。個別論点(例:管理監督者、固定残業、振替休日、割増率)から出血箇所を特定して、将来に向けた止血処置が必要となります。
【発生原因の例】
◆実態に即した労働時間を把握することが技術的、システム的に難しいのか?
◆実態に即した労働時間を把握することに社内的に忌避感があったり、過剰な忖度があるのか?
◆把握した労働時間を不適切処理、切り捨て処理、加工をしているのか?
◆把握漏れを黙認しているのか?
◆計算プロセスが誤っているのか?
◆把握した労働時間に対して対価が合っていないのか?
- (5) 安全衛生
労働基準監督署の是正勧告を受けやすい論点は、安全衛生です。
厚生労働省労働基準局監督課が、労働基準関係法令違反に係る公表事案(いわゆる「ブラック企業リスト」)をweb上で公表していますが、このデータからも労働安全衛生法違反で勧告、送検されている事例が多いことが分かります。
IPOに向けた労務管理では、勤怠管理や残業問題に目が行きがちです。経営陣が最も甘く見て対応が遅れがちなのが、安全衛生論点です。この論点は、正しく実施しているかしていないかで白黒が付きやすい論点ですが、すぐに対応を開始することで短期に効果を出すことが可能です。