いざというときに
役立つ就業規則

企業を守る「就業規則・社内規程」

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経営者が理解すべき 就業規則の5つの戦略

1

「就業規則」=「労働契約そのもの」であり、経営者は就業規則を制定する権利をもつこと。
→だから
「就業規則を作成しない」=「経営者としての人事権を放棄している」に等しい。

戦略 「労働基準法」を意識するだけではなく、「会社側の権利」=「人事権」を意識した就業規則を作成する。

きちんとした就業規則が無い状態で社員を雇う(労働契約を締結する)ことは、白紙契約で「無期継続の高額な契約を締結する」ことと同じです。ビジネスにおいてそのような危険な契約を締結する経営者はいませんが、労働契約ではそのようなことがまかり通っています。

その理由は「採用時の一見円満な人間関係に甘えてしまう」ということに尽きます。誰でも、自社に応募してくれた方に親近感をおぼえるもの。採用時は、誰でも人柄円満、能力優秀に見えるのです。「それが間違いのもとだった…」は経営者なら誰しもご経験のはずです。

さて、日本の労働契約書(労働条件通知書)フォーマットには、労働に関する契約内容をすべて記載することはできないのが一般的ですので、細かい契約内容は就業規則に委ねる必要があるといことで、労働契約法第7条により「就業規則の内容」=「労働契約の内容」とすることが定められています。

したがって、経営者にとっては就業規則を定める権利は人事権そのものであり、経営権の重要な一部を構成するものであります。人事担当者に任せてひな型の借用で対応するような軽い事務作業ではないのです。

さて、労働契約についてよく言われることですが、労働契約における経営者と労働者は、対等な関係性ではありません。経済的な力関係として経営者が優位であることが多いと思われますが、法的な力関係においては、労働者が圧倒的に強いということは広く知られているとおりです。

最も分かりやすい例として、解除権ですが、労働者は理由に制限なく一方的に解除可能ですが、会社側から解除(解雇)は厳重に制限されています。処遇についても、労働者の既得権は厳重に保護され労働者に不利益とされる処遇変更は合意がない限り許容されません。(むしろ合意があったとしても労働者側から「真実の合意ではない」というロジックで覆すことすら可能です。)

すなわち、労働者は一定の範囲で会社の就業規則に拘束されつつも、会社の就業規則よりも労働法令や判例法理が優先するので、就業規則に記載がないことでも労働法令を味方につけて後出し主張が幅広く可能であるのに対して、会社側には労働法令は味方にはならないので、会社側は、自ら作成した就業規則を主張根拠とするしかなく、その就業規則には、法令の許容範囲を見定めながら自社の意向を反映していく方法でしか人事権を行使できません。こうした微妙なバランス感覚を理解することが、就業規則作成の最大の勘所となります。

従って、就業規則を制定する上で最も大事な視点は、『一般的に労働者が望まないけども、会社の経営上、どうしても命令しなければならないこと(=人事権に関する条文)を適切な表現で盛り込む』ということになります。

人事権に関する条文とは、一般的には次のような内容です。
・雇用区分(正社員、契約社員、パートタイム社員、嘱託社員)の違い(職務の範囲、責任、それに伴う処遇が違うこと)
・人事異動(職種変更、配置転換、転勤、出向)の根拠規定
・服務規律(出退勤ルール、禁止行為、情報管理、ドレスコード、業務執行基準など)
・休職命令や復職許可に関するルール
・人事評価、処遇変更に関するルール
・適切な業務指導、ハラスメント防止に関するルール
・懲戒処分、解雇に関するルール
・休業、出社制限に関するルール
・安全管理、健康管理に関するルール

どれも、労働者側からすれば煩わしく感じられるルールですが、こうしたルールを軽視して「自由でフレンドリーな労働者にやさしいだけの職場作り」をしてしまうと失敗することは、多くの経営者が実感として感じておられるところと思われます。

労働契約法第7条
労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

2

「何をどのように定めるか?」=「経営者の知恵の使いどころ」であること。
→ だから
経営者側に立って活きた知恵を出してくれる他社事例経験豊富な社会保険労務士に依頼すべきである。

戦略 就業規則の勘所(4つのグループ分け)を理解して適切なひな型を使用する。

昨今では度重なる法改正や労働問題多発の影響を受け、就業規則の条文は100条以上にのぼることが珍しくありません。経営者からすれば通読するのも一苦労という状況なのですが、その全てを熟慮する必要はありませんのでご安心ください。力を入れるべきポイントを見分ける力が重要です。重要なのは、会社の人事権に関連するカテゴリー2とカテゴリー3です。

カテゴリー 内容 推奨される対応 条文例

カテゴリー1

労働基準法等の法令に定められた内容。

自社で変更することができませんので、法令のとおり記載します。

解雇制限、解雇予告、時間外休日労働に関する労使協定、産前産後休業、育児休業、災害補償(労災)関連など

★重要

カテゴリ-2

就業規則に明文化しておかないと会社側が主張できない内容。

重要な人事権に関する条文であり最重要です。

所定労働時間、休日、手当や賞与の支給要件、固定残業代、管理監督者、人事異動、服務規律、懲戒処分、解雇、試用期間解雇、休職命令、休業命令など

★重要

カテゴリ-3

法律上に明確な定めがないがトラブルに備えて予防的に入れるべき内容。

人事の実務運用に関する重要事項です。

情報管理基準、秘密保持義務、休職・復職手続、自然退職条項、合意退職、業務指導、人事評価、報連相や業務執行基準、ハラスメント予防措置、ドレスコード、所持品検査、モニタリングなど

カテゴリ-4

会社の独自解釈で法令違反になっている内容

無効になるので削除すべき内容です。※

長期間の試用期間、漠然とした解雇事由、許可制を理由とした残業代不払条項、法定労働時間を超過した所定労働時間、日々の労働時間の端数切り捨てや丸め処理、年次有給休暇や自己都合退職を不当に制約する条項

※労働基準法第92条
1.就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない。
2.行政官庁は、法令又は労働協約に牴触する就業規則の変更を命ずることができる。

就業規則は、ひな型を参考にして自社の経営方針(人事権に対する考え方)を入れ込んで作成していきますが、下敷きにするひな型次第で完成後の品質が大きく左右されます。役に立つ就業規則を作成するためには事例が大事です。豊富な他社事例を知り尽くした、実務的に役立つひな形を提供できる社会保険労務士にご依頼ください。

例:厚生労働省モデル就業規則
→ 基本的にカテゴリー1が中心になっているため、カテゴリー2とカテゴリー3は自社で全て考えなければならないため、ドラフト作成者の負担が大きく、抜け漏れリスクが大きい。

例:無料ダウンロードのひな型
→ カテゴリー1のみならずカテゴリ-2の条文も多少記載されているが、汎用性を重視して例文作成されているため運用面が曖昧でいざ適用しようとしたときに迷う内容が多い。結局のところカテゴリー2とカテゴリー3は自社で考えなければならないため、ドラフト作成者の負担が大きく、抜け漏れリスクが大きい。

例:自社担当者の独自作成
→ 労働法令の知識を有する担当者が勤務しているケースなどでその知識を活用することは有益であるが、他社事例が参照できない場合に自社近視眼になってしまい、リスク検討の抜け漏れが起きやすくなる。また、自社のしがらみに囚われてカテゴリー4に近いような不適切条文を放置してしまうことが散見される。(薄々不適切であることは気づきつつも、社内合意が形成できず、削除も変更もできず放置してしまった結果、リスクが拡大してしまう。)

3

制定後は原則として労働者に不利益な改定が困難であること。
→ だから
小さい会社やスタートアップ企業であるほど、今後発生するかもしれないモンスター社員や労使トラブルを想定した「後手後手の修正が発生しにくい」就業規則を作成しておく必要がある。

戦略 労働者との不利益改定問題は、経営の大きな制約事項になる。将来的な課題をできる限り先取りして、不利益改定が起こりにくい条文を作る。

「会社が小さいうちは、とりあえず簡単な就業規則を作成しておいて、社員が多くなってきたら、内容を少しずつ見直しましょう。」という考え方は今でもそれなりに多く聞きます。就業規則を事務作業と捉えてしまえば、あまり費用も時間もかけられないので…という気持ちも分かりますが、そのようにして作った「とりあえず簡単な就業規則」が後々の経営の障害になるケースが意外に多いのです。そして、企業として成長した後、経営者と人事担当者は「不利益改定との戦い」に常に悩まされることになるのです。

労働法の鉄則に「不利益変更の原則禁止」があります。条文は労働契約法にあります。

労働契約法
労働契約法第9条
使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。

労働契約法第10条
使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

ここにいう不利益改定とは、「賃金を引き下げる」とか「休日を減らす」といった分かりやすいものだけではなく、「今まで明文化されていなかった新たなルールを追加する」「過去に何となく入れた条文が不都合になったので削除したい」といったものでも、それにより不利益を受ける(不利益と感じる)労働者1人でも存在すれば、不利益改定を主張される可能性があります。

 

典型的な事例を3つご紹介いたします。

【事例1】

スタートアップ企業A社。社長が知り合いのエンジニア3名を社員に誘って創業したITベンチャー企業です。社員数が少ないこともあり就業規則や給与計算を複雑にすることは避けたかったので「基本給に30時間分の残業代を含む」ことについて口頭の合意をしていて、3名からは特に反論も無くやっていました。数年たち、社員も10名を超えました。社長としてもコンプライアンスを意識して、給与を「基本給部分」と「30時間分の固定残業手当」に明確に分離して超過残業代はきちんと払おうとしたところ、とある社員Xから「基本給部分を減額することは不利益改定として認められない。またこれまで基本給に30時間分の残業を含めるというやり方も法令違反だと思ったが自分としては無理矢理同意させられていただけで納得していない。」と主張され、社長は驚愕してしまいました。

【事例2】

小規模な広告営業の会社Bでは、業務の性質上、クライアントの都合で始業終業時刻が変動しやすかったので、遅刻を細かく計算して、給与を控除することはしていませんでした。また、社長としても営業成績に応じて報酬を支払いたいという思いが強く、労働時間で細かく控除することはしたくなかったようです。

最近になり、顧問社労士から「コンプライアンスのためにタイムカードを1分単位できちんと打刻してそれに基づき給与計算した方がよい。残業代を1分単位で払うことはもちろん、遅刻早退も1分単位で控除すべきだ。」と助言され、そのような内容に就業規則を改定しようとしました。

ところが、とある社員Yから、「これまで遅刻控除をしなかったのは完全月給制と理解している。それが遅刻控除をする日給月給制に変更するということは不利益改定なので私は納得できない。」と反論されました。ムッとした社長は「では、残業代を1分単位で払うようなこともしない。」と言うと、社員Yは「それとこれは別問題。残業代を1分単位で払うのは法的義務であり、就業規則に記載されてなくても支払義務はある。」との反論。

社長としては、社員Yに完全にやり込められてしまった格好になって、感情の収まりがつかず、顧問社労士にクレームをつけました。

【事例3】

小規模な店舗経営の会社Cでは、過去に経営コンサルタントから助成金を勧められ、内容はコンサルタントに任せっきりで形式的な就業規則を作って労基署に届出をしていました。その中に、社長もあまり中身を知らない休暇制度が入っていたようなのです。

ある日、社長が就業規則を目にする機会があり、このような休暇制度は当社の現実にそぐわないと考え、総務担当者にこの条文を削除しておくように指示したところ、「それは不利益改定になるし、助成金の不正受給になってしまうかもしれないですからやめた方がよいです。」と言われました。

店舗は365日営業で、人数も仕事もギリギリで回しています。社長はほぼ毎日働いていますし、社員にしても年次有給休暇どころか休日出勤の振替休日すらまともに取れていない状況。「当社でこんな制度が運用できる日は本当にくるのか…」と苦々しい思いになりました。

 

さて、現実にこうした事例が不利益改定で無効になるのかどうかは、最終的には裁判で決するしかないと思われます。ただ現実として、労働者からこうした反論が上がってしまえば、経営としての判断はいったん足止めされることになってしまいます。そうなってから、社会保険労務士に相談しても手遅れです。こうした事例においては、裁判闘争に至ることは少ないにせよ、結局のところ、地道に社内に説得を続け必要であれば代替措置を提示するような合意形成を進めていくしかないのが実態です。

 

「固定残業代を分離表示する」「遅刻は給与控除する」「法令上の義務事項ではない不相応な福利厚生は導入しない」といったことは、経営上は合理的判断です。そうした当たり前のことが、なぜ実施できなくなってしまうのか?これが労働契約の本質であり、不利益改定の原則禁止の恐ろしさです。「今は小さい会社だから詳細な就業規則は不要」なのではなく、「将来人数が増えたら起こりそうなことを先読みして就業規則を定めておく先見の明」が求められるのです。そのときに経営者の力になるのは、他社事例(人数が増えた後の企業で起こる労務トラブル)を知りつくした社会保険労務士なのです。

 

以上、小さな会社の就業規則戦略をまとめます。

①会社設立後、従業員が少ない段階で早期に、将来起こりうる労務トラブルを想定した「防御力」の高い就業規則を作成しておく。

 

②会社の発展段階においては、労務トラブルへの耐性が極めて弱い状況であると認識すべきである。(皆で汗をかきながら兼務や残業で頑張らざるを得ない状況があり、また企業知名度が低いため採用人材の質も安定しない。仮に問題社員が入社してしまった場合、社内がかき回されてしまい、その一名のインパクトが極めて大きい。)

 

③しかしながら、100条以上もある就業規則を全て条文どうりに運用するのは困難である。「原則的なルールはあるが、会社の裁量により適用しない(労働者有利の簡素な運用にする)こともできる」ように条文構成しておくことで、会社が運用の厳密性をコントロールできるようにしておくことができる。

 

④会社が成長し社員のレベルの向上に合わせて、社員に裁量性を持たせて自主性によりパフォーマンスを引き出せるように就業規則を労働者有利変更していく。

(例:フレックスタイム制、裁量労働制、テレワーク制度、特別休暇の充実、法定外福利厚生、短時間勤務選択、各種手当、インセンティブ制度、業績連動型賞与制度の拡充など)

4

「就業規則」だけが「法令上の就業規則」ではないこと。
→ だから
賃金規程、パートタイム就業規則、育児介護休業規程、テレワーク規程、出張旅費規程、車両通勤規程など、会社に必要な規程が総合判断できる社会保険労務士に依頼すべきである。

戦略 タイトル「就業規則」だけをスポット販売している社会保険労務士やコンサルティング会社と仕事をしない。諸規程や労使協定のリストの中から必要なものの助言を受けることができて、選択可能なサービスを選択する。
※その検討の結果、優先度として「まずは就業規則から」というご判断はもちろん尊重されるべきです。

「就業規則」という表現は実はややこしい表現です。タイトル「就業規則」と法令上の「就業規則」は異なります。まず、法令上の「就業規則」は、就業規則、賃金規程、育児介護休業規程…といった労働条件に関する諸規程の総称を指します。(労働基準法第89条に記載されている事項を別規程として作成することは可能ですが、どのようなタイトルでも「当該事業場の労働者のすべてに適用される定め」は就業規則になります。)

労働基準法第89条(作成及び届出の義務)
常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
一 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
二 賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
三 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
三の二 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
四 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項
五 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項
六 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項
七 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項
八 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項
九 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項
十 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

そのように理解すると、タイトル「就業規則」をスポットで格安販売している社会保険労務士やコンサルティング会社に依頼すること自体、経営的にはあまり意味がないことになります。タイトル「就業規則」の販売だけを考えるのであれば、肝心なところは「○○については別途規程で定める。」ということでボリュームを減らすことは可能だからです。

事実、お客様の就業規則を拝見しますと、「○○については別途規程で定める。」と委任条文を置かれているにもかかわらず、「別途規程」が存在しない、または内容が薄すぎて運用に堪えないといった状況が散見されます。

就業規則のコンサルティングとは、「人事労務管理」という全体感の中で今行うべき作業を考えることが大切であり、その検討の結果として「就業規則、賃金規程、パートタイム就業規則は別に作成しよう」とか「賃金や育児介護休業の内容も一つにまとめて就業規則として作成しよう」といった判断が出てくることになります。

また、就業規則のみでは不十分な制度(変形労働時間制、裁量労働制など)が存在しますので、そうした制度設計は労使協定や関連様式の整備も必要になります。そうした視点も含めてコンサルティングをさせていただきます。

もちろん「一括で全規程を整備する」ということは、時間的にもコスト的にも無理がある話になります。大事なことは、全体感の中で優先度を決めて作業をする想定で専門家とスケジュールや優先度をご相談いただきたいということになります。

人事労務関連規程の一覧(例)

就業規則
賃金規程/給与規程
退職金規程
契約社員パートタイマー就業規則
契約社員パートタイマー賃金規程/給与規程
嘱託社員規程/再雇用規程
無期転換規程/正社員転換規程
限定正社員規程/時短勤務規程
テレワーク規程/在宅勤務規程
育児介護休業規程
慶弔(見舞金)規程
出張旅費規程(国内/海外)
出向規程
転勤規程
社宅管理規程
車両管理規程
人事考課規程
安全衛生管理規程/安全衛生委員会規程
ハラスメント防止規程
反社会勢力との関係遮断に関する規程
コンプライアンスに関する規程類
情報管理に関する規程類(個人情報、機密情報、雇用管理情報等)

 

労使協定の一覧(例)

時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)
60時間超時間外労働の代替休暇に関する協定
1ヶ月単位の変形労働時間制に関する協定
1年単位の変形労働時間制に関する協定
フレックスタイム制に関する労使協定
1週間単位の非定型的変形労働時間制に関する協定
事業場外労働に関する協定
専門業務型裁量労働制に関する協定
一斉休憩の適用除外に関する協定
貯蓄金管理に関する協定
賃金からの控除に関する協定
賃金の口座振込に関する協定
年次有給休暇の計画的付与に関する協定
年次有給休暇の時間単位付与に関する協定
年次有給休暇中の賃金に関する協定
育児介護休業休暇の適用除外に関する協定
65歳までの継続雇用制度に関する協定※
※現在は新規締結はできません

 

5

効力発効要件として「周知」があり、法定義務として「従業員代表の意見書」と「届出」があること。ここを事務作業と甘くみていい加減に対応するとせっかくの就業規則が水の泡。
→ だから
就業規則データの作成後の段取りまでサポートしてくれる社会保険労務士に依頼すべきである。

戦略 就業規則の発効要件を適法にクリアして、紛争時でも効力を主張できるように注意する。かつ届出までサポートすることで、法的要件を満たして堂々と社内に公開できるものとして社内に説得力を持たせる。

コストをかけて就業規則を作成したにもかかわらず、最後の詰めを誤ってお蔵入りさせてしまう残念な事例が後を絶ちません。就業規則といえば「周知」「従業員代表の意見書」「届出」は基本的な事務作業なのですが、この作業が社内で宙に浮いてしまうことが多く、
例:担当者のパソコンに眠ったまま「就業規則案(ドラフト)」で放置される
例:作成されたのに社内に公開(周知)されていなくていざというときに無効になる
例:届出しないまま社内保管され、いつのまにか労働者10名を超えてしまったことに気づかず違法状態になる(労働基準監督署の調査で指摘されて慌てて届出するような恥ずかしいことになる)

どのような仕事でも言えることですが、詰めを誤るとそこまでの努力は水泡になります。特に法令業務については詰めが大事です。就業規則において、最も重要なのは「周知」です。就業規則とは労働基準監督署への届出で有効になるのではなく、「周知」により有効になります。ですので、「周知」されていない就業規則は無効であり、労働者に対して拘束力を発揮しません。(いわゆる「会社側の内規状態」です。)

周知とは「常時社内の見やすい場所へ掲示すること」ですが、近年は、社内イントラネットやクラウドサーバー上に置くことができるようになったため、各支店や個々の従業員の隅々まで閲覧可能な状態を構築しやすくなったため、周知漏れ事故は少なくなりました。しかし、パートアルバイト等で社内システムにアクセスするアカウントを持たない者が漏れてしまうようなことは注意しなければなりません。また、フォルダ構造が複雑なのに会社側が説明を怠るといった状況になると、従業員から周知漏れと反論される可能性がありますので、入社時の説明事項に必ず加える必要があります。

過去においては、就業規則ファイルが分かりにくい場所(人事担当者のロッカー等)に保管されていた結果、労働者から「周知漏れ無効」を主張される事例が多く、労使紛争の際には、労働者側の予備的主張として会社に対して「周知漏れ無効」を指摘することが常套戦術でした。そのような戦術が有効と認識されるほど、多くの会社が「周知」が軽視されていたのです。

当社ではそんなことはないと安心している会社でも、「就業規則本編」ではなく「諸規程」の周知漏れはないでしょうか。特に賃金規程や退職金規程など、金銭関係の規程を労働者に見せたくないという意識で非公開にしていませんか?また、賃金規程や退職金規程に「別表に定める」と記載している「別表」を外して周知していませんか?こうした事例は全て「周知漏れ」であり、その内容を労働者に主張することはできません。

「由(よ)らしむべし知(し)らしむべからず」とは、為政者は人民を施政に従わせればよいのであり、その道理を人民にわからせる必要はない(論語)との古い政治原理ですが、未だにこうした社内管理を行っている企業は、法律的な思考で意識改革が必要です。企業秘密は隠すことがビジネス上の優位になりますが、労働条件を隠すことは、ビジネス上の有利にはなり得ません。周知しないことが企業の法的安定に資することはなく、周知することで効力を正しく発揮させることが重要なのです。もし、周知したくない内容なのであれば、規程を隠すのではなく、規程に「個別に会社が定める」というように「当該事項は会社の裁量事項である」ことを明示すべきなのです。

労働基準法第106条
使用者は、(中略)就業規則(中略)を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によつて、労働者に周知させなければならない。

労働基準法施行規則第52条の2
法第百六条第一項の厚生労働省令で定める方法は、次に掲げる方法とする。
一 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること。
二 書面を労働者に交付すること。
三 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。

労働契約法第7条
労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

ガルベラ・パートナーズが考える 就業規則改定の戦略

こちらの記事は、すでに就業規則を作成したことがある企業が大幅な改定を行う際の戦略について解説します。なお、新規作成に共通の5つの鉄則は、改定作業においても大切な考え方になりますので、下記記事をご参照ください。
(リンク)ここだけ押さえれば社会保険労務士に丸投げOK! 経営者が理解すべき 就業規則の5つの鉄則

すでに事業規模や業歴が大きくなっている企業では、今から就業規則を新規に作成する需要は少なく、法改正や人事政策の変化に合わせて改定したいとの需要が大きいと思われます。企業実務としての難易度を考慮しますと、新規作成より改定作業の方が、難易度が高く多くの作業工数を要することが多いため、改定特有の注意事項について解説いたします。

1

現状の規程データの管理状況を確認すること

戦略 社会保険労務士に見積依頼する前に、自社の規程データの管理状況を確認すること。データの管理状態が悪い場合は、費用が高額になったり、改定作業自体が不可能に近くなってしまう場合がある。なお、元データを納品しない事業者との契約は企業管理上推奨されないこと。

冗談のような話なのですが、就業規則の元データが存在せず、紙資料やPDFデータしか存在しないケースがあります。これは、就業規則のメンテンナンス作業が一般的に人事担当者のブラックボックスになりやすく退職後の引き継ぎが不十分になりやすいこと、一部の社会保険労務士がノウハウの流出を防ぐ等の理由でデータ納品をせず、PDFや紙納品しか対応しない等の迷惑行動を取るためと考えられます。(注:見積の際には、金額だけでなく、納品形式も確認してください。元データ納品を拒否する事業者と契約すると自社での規程管理が困難になります。)

そこまで極端な状況でない場合であっても、「前担当者が設定したパスワードが不明で、ファイルの開封や追記ができない。」「複数のバージョンが入り乱れており、どれが最終版(労働基準監督署に届出されているもの)であるかが不明。」「別表や図表が画像貼り付けになっていて、復元が困難である。」といった改定困難事象は、比較的多く見られます。

規程元データが存在しない場合は、「パソコンからのデータのサルベージ」「OCR(文字起こし)作業」「新たなひな型で全面的な置き換え」のいずれかの対応を取る必要があり、作業工数や見積に大きな影響を与えます。こうした状況である場合は、単なる改定作業ではなく、規程管理の基本方針からのご相談になりますし、法律論以前にコスト感や経済的合理性の問題になってきますので、広く相談対応能力のある社会保険労務士にご相談ください。

2

給与、賞与、休日休暇、福利厚生に関連する項目は、僅かな不利益改定でも反対意見が出やすいので法律論以前に、社内合意形成のため地ならし作戦(事前説明会、社内の意見聴取、特定対象者への個別面談等)を検討すること

戦略 人間には損失回避性の本能があることを理解し、給与、賞与、休日休暇、福利厚生に関連する項目については、僅かな不利益改定でも労働者が反応しやすいことを忘れないこと。法律論以前に、感情面を考慮し社内合意形成のため、地ならし作戦(事前説明会、社内の意見聴取、特定対象者への個別面談等)を検討すること。

プロスペクト理論の研究によれば、「人間は目の前に利益があると、利益が手に入らないというリスクの回避を優先し、損失を目の前にすると、損失そのものを回避しようとする傾向(損失回避性)がある」と言われています。特に給与、賞与、休日休暇、福利厚生等の金銭や既得権に関する条件ついては、経営側と労働者側の感じ方に大きなギャップがあることが通常です。

人事労務は法律業務であると同時に、人間理解の業務でもあります。経験の浅い人事担当者はこの点を甘く見てしまい内向きの作業に閉じこもってしまう傾向があります。例えば、「社会保険労務士と打ち合わせて就業規則のドラフト作成→経営の決裁→労働者代表の意見聴取→労働基準監督署への届出」という労働基準法の枠組のみを意識してしまい、合意形成という相手のある仕事であることを忘れてしまうようなケースです。(これは、外部委託者として作業をする社会保険労務士にとっても同様の傾向があります。不利益改定のケアに関する意識が薄いまたは過剰に意識しすぎて建設的な意見を出さない社会保険労務士に業務を依頼することは作業が頓挫することにつながりますので、見積段階で意見を尋ねてみるとよいかと思われます。)

いわゆる地ならし作戦としては、次のような事例があります。

(1)事前説明会

就業規則のドラフト確定前に、事前説明会を開催して「予定される改定事項」「改定をしなければならない大義名分」「移行期間」「代償措置」等の説明を行い丁寧にヒアリングする。大規模な反対意見がある場合には案の見直しを含め再検討したり、小規模な反対意見についても軽視せずに公開回答を行う等で広く理解を求めていく。

(2) 意見聴取手続(パブリックコメント)

パブリックコメントとは、行政手続法において「命令等を定めようとするときに、それを定める前に公示し、広く一般に意見を求めなければならない」とされる手続きのことです。反対意見があったことを理由に必ず廃案や修正になるものではないのですが、国民の理解促進という意味で重要な手続きです。この段取りを就業規則改定にも応用することで、社内の理解促進の一助とすることができますし、会社側が密室で結論ありきで進めている印象を薄めることができます。具体的には、就業規則のドラフト最終版が完成した段階で、正式な周知・届出前に意見聴取手続(パブリックコメント)を実施します。そこで出た意見については(1)と同様の考え方で丁寧に対応していきます。なお、労働基準法に定められた労働者代表の意見聴取手続はこれと別途、法定の書面方式で行います。

(3)個別同意手続

例えば定年制や退職金に関する変更、特定の職種や部門に関する手当や勤務形態の変更など、特定の層に不利益が集中する改定の場合は、先行して不利益層に個別面談で対応することで重視している姿勢を打ち出すことが重要です。面談の中で、「事情説明」「説得」「移行期間や代替措置の提案」を行い個別にケアを行い、重要な合意については書面合意を取得する等の丁寧な対応を検討する必要があります。

以上の地ならし作戦は、労働基準法に定めがあるものではありませんが、労働契約法への対応として重要な意味を持ちます。不利益改定の要素を含む就業規則改定は、労働基準法の手続き(周知、労働者代表の意見聴取、労働基準監督署への届出)を実施した場合であっても、労働契約法第10条により事後的に無効を主張されるリスクが常につきまといます。その対策として、上記のような地ならしをすることで、社内の合意形成に資するだけではなく、労働契約法の法令対応としてのケアにもなります。

労働契約法第10条
使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

労働契約法第10条においては、不利益変更の合理性を判断する際の主な事情として、4つ(「労働者の受ける不利益の程度」、「労働条件の変更の必要性」、「変更後の就業規則の内容の相当性」、「労働組合等との交渉の状況」)が示されていますが、これらは行政通達において、「就業規則の変更が合理的なものであるか否かを判断するに当たっての考慮要素として例示したものであり、個別具体的な事案に応じて、これらの考慮要素に該当する事実を含め就業規則の変更に係る諸事情が総合的に考慮され、合理性判断が行われることとなるものである」とされており、各要件については次のように示されています。

①「労働者の受ける不利益の程度」

個々の労働者の不利益の程度をいうとされています。

②「変更後の就業規則の内容の相当性」

就業規則の変更の内容全体の相当性をいうものであり、変更後の就業規則の内容面に係る制度変更一般の状況が広く含まれるものであることとされています。判例によれば「代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況」「同種事項に関するわが国社会における一般的状況」等が言及されており、実務的にも、不利益変更の際には、代償措置、緩和措置又は経過措置等を提示したり、世間相場や同業事例等を比較検討することが一般的な対応です。

③「労働条件の変更の必要性」

使用者にとっての就業規則による労働条件の変更の必要性をいうとされています。なお判例によると「特に、賃金、退職金など労働者にとつて重要な権利、労働条件に関し実質的な不利益を及ぼす就業規則の作成又は変更については、高度の必要性に基づいた合理的な内容であることが必要」とされています。

④「労働組合等との交渉の状況」

労働組合等の事業場の労働者の意思を代表するものとの交渉の経緯、結果等をいうとされています。労働組合が存在しない企業も多いと思われますので、その場合は労働者全員に向けた社内説明会等で丁寧に説明を行うとった会社側の努力を見せていく必要があります。

以上のように「不利益改定対策」と言うのは易いのですが、現実は、「知恵の出し合い」「泥臭く粘り強い対人交渉」の要素が強く、経営陣と人事担当者の人間力勝負のような局面になります。就業規則の改定では、この不利益改定対策が最大の山場となりますので、ドラフト作成と合わせて検討を進めましょう。

3

改定項目の優先度判断を付けるため専門家のフルレビューを入れて論点をリストアップすること

戦略 企業規模が大きくなるほど、利害関係者(取締役会、各事業部門、各従業員)が多くなるので、人事担当者の感覚による「全部改定しちゃいましょう」は通用しにくくなる。大規模な改定では最終段階までに改定を諦めざるを得ない論点が必ず発生する。合意形成の際に、人事担当者として粘る論点と捨てる論点を判断できるようにしておくことが必要。改定の必要性や優先度判断を行うために専門家のフルレビューとコメントをもらうことが望ましい。

改定案を作成している当事者(人事担当者、社会保険労務士)にすれば説明するまでもなく当たり前のことでも、部外者から見れば「なんで今さらそんな改定をしなくてはならないのか?」と勘ぐられてしまうのが就業規則の世界です。かつ、近年の法改正は、様々な政治的妥協を経て成立しているので、人事担当者から見ても条文表現や趣旨が極めて分かりにくい内容ばかりです。

そうした内容のドラフトを、取締役会の議題として上程し、従業員説明会で納得が得られる説明資料を作成するためにも、社会保険労務士による客観的意見が強い味方になります。例えば、改定条文案や新旧対照表を作成する際に、次のように「優先度レベル」と「根拠」を表示することで、「当社にとっての必要性」が分かりやすくなるので部外者も納得しやすくなります。

優先度レベル 意味 根拠として提示するもの

優先度1
誤記修正

今回の作業中に誤字脱字、付番ミス、参照ミス等が発見された部分であり誤った解釈をされるリスクがあり修正が必要な内容。

優先度2
要修正意見

法令違反リスク、法改正対応の観点から修正が必須である内容。
例:割増賃金の算定基礎賃金の誤り、変形労働時間制の根拠条文の不足、年次有給休暇取得義務化

法令、判例等

優先度3
推奨意見

近年のトレンドや他社事例から人事労務管理体制の充実やリスク対応に有益な内容。
例:雇用区分の明確化(職務の内容と責任の範囲)、メンタルヘルス休職復職手続、業務改善計画(PIP)に関する手続き、テレワークやフレックスタイム制の要件緩和や明確化、感染症等に対応した休業命令

事例、参考条文

優先度4
参考意見

他社事例として興味深い取り組みなど自社にとっても検討する価値があると考えられる内容。
例:新たな休暇制度、リファラル採用、社内公募制度、副業容認

事例、参考条文

法改正対応として最低限の定期改定であれば優先度2までの内容であり、労働局の資料をもとに社内作業で対応可能と思われますが、大規模改定になる場合は、優先度3から優先度4までの内容が含まれてくることが一般的ですので、他社事例を知り尽くした社会保険労務士の活用が有効になるでしょう。そうした目新しい内容であればなおさら上記のように、「優先度レベル」と「根拠提示」が行われることで、多くの関係者がその必要性を正確に判断がしやすくなります。(特に取締役会では、このような資料の作り方をしなければ単なる叩き台と見られてしまい、議案として成立しないことになってしまいます。)

4

関連規程への波及関連労使協定の再締結も考慮すること

戦略 大規模な改定になるほど関連規程への波及や関連労使協定の再締結が発生する。人事担当者一人で事前準備も怪しいままに何となく始めてしまうと見落としによる手戻りリスクが高い。事前準備の段階から社会保険労務士に情報共有と相談をしながら慎重に進める。

大規模な改定になるほど関連規程への波及や関連労使協定の再締結が発生することは容易に想像可能と思われます。ここで盲点になりやすいのが、「現存する規程類や労使協定の存否確認」です。特に労使協定は、自動更新条項が入っていることが多く管理が雑になりやすく、「過去に締結されたはずだが原本が見当たらない」「本社分は見つかったが支社分が不明」「ドラフトデータはあったが締結されたかどうかが不明」といった状況がよくあります。そうなれば当然「再協定」という論点が発生します。また、諸規程でも「過去に試しに作成したがほとんど運用や参照がされてない規程」というものが存在することが多く、過去の周知や届出状況を確認して、就業規則として有効な規程なのか、それともただの規程案(ドラフト)であったのかの確認が必要です。

特に注意が必要なのものは、制度の発効要件が労使協定側にあるもの(変形労働時間制、裁量労働制、年次有給休暇関係など)や運用の重要部分が関連規程側に委任されているもの(人事考課規程、賞与やインセンティブの算定に関する規程、テレワーク規程、出張旅費規程、慶弔見舞金規程など)です。

 改定した就業規則が十分に意図した効力を発揮するためには、これら参照先の関連規程や労使協定が有効であることが大前提になります。これが、「実は規程として無効であった」「参照すべき規程が消えている」「規程名称相違や参照条番号ズレのため正確な参照になっていない」といった状態になると就業規則としての効力に弱点が発生してしまいます。

 こうした参照事故を発生させないためには、普段からの規程作成上の工夫が大切になってきます。単体の規程だけを考えればどのようにいじくってもその当時は困らないわけですが、将来に渡って長期の運用を行うことを考えた場合に、参照ズレが発生しにくい作業の工夫を考えたいところです。

【参照事故を防ぐための工夫】
・主語(社内呼称)の統一(「会社」「当社」「使用者」/「社員」「従業員」/「賃金」「給与」)
・規程名称はできるだけ一般的で内容が分かりやすいタイトルにする
・条番号はできるだけ変更しない(例:削除条文を欠番にしておく)
・同種の内容に関する大規模な条文追加は別規程にまとめる
(例:テレワークに関する特例、時短社員に関する特例、自家用車通勤者の特則)
・参照による変更が多発するような表現はできるだけ使わない
(例:「○○規程第○条○項の▲▲」)という表現を多用すると参照箇所が膨大になる)

5

非公開段階(準備作業とドラフト検討作業)はじっくり時間をかけて慎重に行うが、公開段階(ドラフト確定後)は必要以上に引き延ばしをせず、「経営決裁(取締役会)」「社内意見聴取」「労働者代表意見聴取」「周知」「届出」の一連の作業のスケジュールを決めて一気にゴールに持ち込むこと

戦略 就業規則のような利害関係が絡むデリケートな話題は緩急をつけて一気に処理する。非公開段階(準備作業とドラフト検討作業)はじっくり時間をかけて慎重に行うが、公開段階(ドラフト確定後)は必要以上に引き延ばしをせず、「経営決裁(取締役会)」「社内意見聴取」「労働者代表意見聴取」「周知」「届出」の一連の作業のスケジュールを決めて一気にゴールに持ち込むこと

就業規則改定作業の失敗事例として意外に多いのは、
『人事担当者が改定を焦って、慌てて外部の社会保険労務士に見積と発注をして、バタバタとドラフト作成した段階で力尽きて、経営決裁の段階で「説得力不足」「社内への根回し不足」を指摘され足止めを食らって棚ざらし』というパターンです。

これは法律論というよりはビジネスプロセスや社内政治という観点から緩急の付け方が不適切という状況と思われます。非公開段階のプランニングは人事担当者側でコントロールできる時間ですから、前もってじっくり慎重に行うことで準備の精度を上げていくことができます。一方公開段階では、社内の多くの利害関係者が乗っかってくるため人事担当者のコントロール外の状況になりやすく時間が経過するほど状況が複雑になっていきますので、一気に処理して事態の複雑化を抑制するのが得策と考えられます。

公開段階で生じる経営への根回し(改定趣旨に同意を得る)や社内の地ならし作業(ガルベラ・パートナーズが考える 就業規則戦略 その7(改定編)「改定項目の優先度判断を付けるため専門家のフルレビューを入れて論点をリストアップすること」)は、非公開段階で検討と準備をしておかなければなりません。

基本的には、「経営決裁(取締役会や経営会議)」は月1回で期日が決まっていますので、この日程がスケジュールの起点になります。この日程の前に、主要な役員に説明を行う機会を確保する必要があり、そのタイミングに合わせて改定ドラフトと説明資料を作成しておく必要があります。

「経営決裁(取締役会)」後は、事前に決めたスケジュールで、最短距離で届出まで走りきることが目標になりますが、地ならしが必要な論点が多ければ、ここで頓挫する確率が高くなります。

 重たい不利益改定論点を複数含むような改定(二段ハードル、三段ハードルの改定)を一回の改定で通すのは、反対意見がつく論点が多くなるので、社内合意形成の難易度が格段に高くなってしまいます。1年~複数年計画で一つずつ確実に通過させる二段階、三段階戦術も検討する必要が出てきます。

いずれにせよ公開段階でのダラダラが長期化すると、経営側も労働者側もストレスを感じやすい社内状況になってきますので、何となく多方面からケチがつきやすくなり、就業規則改定作業そのものがお蔵入りに持ち込まれるケース(人事担当者がストレスで力尽きるケース)は意外に多いのが実情と思われます。そのくらい労働条件に関する労使の利害対立という論点は重たい論点です。社内政治力という観点からも、管理部門は事業部門に対して劣位にあることが多いですので、十分な準備をした上で、一気に仕事を仕上げましょう。

実用サンプルをご紹介 就業規則をパワーアップさせるための着目点18

1 正社員と非正規社員(契約社員、パートアルバイト、嘱託社員)をしっかり区別していますか? 
2 労働関係はビジネスの契約関係であり、甘えは許されません。従業員と馴れ合いを防ぐ会社の考え方は入っていますか?
3 問題社員を防ぐ「採用の3つの防波堤」は整備されていますか?
4 人事異動と出向に従う義務は実用レベルに整備されていますか?
5 外国籍対応は漏れていませんか?まさかのための反社会勢力対応は入っていますか?
6 コミュニケーション能力不足、常識不足社員への対応 ~ 指導の根拠として当たり前の内容でも明確に条文化できていますか?
7 情報管理は会社のスタンスを明確に示していますか?(誓約書、情報管理、事業場内検査)
8 変形労働時間、休日、休暇は実態に合った不整合のない規定になっていますか?安直な規定は未払残業の温床になります!
9 労働時間とそうでない時間の区分はなされていますか?(残業許可制、出張時間、健康診断)
10 有給休暇の規定はひな型そのままになっている可能性大!運用実態に合った条文になっていますか?
11 企業現場では様々なことで休業が発生する可能性があります。あらかじめ就業規則に「休業への対応方針」を明示していますか?(特に賃金の支給について)
12 休職トラブル激増中!実務運用に耐える条文になっていますか?
13 実務的に多い退職事由「合意退職」「行方不明退職」を想定した条文を入れていますか?
14 現在は対象者がいなくても、定年と嘱託社員(継続雇用)のルールはあいまいになっていませんか?
15 事業場内の健康管理の観点からの「就業禁止」の条文は入っていますか?
16 「問題社員に対する業務改善指導」に向き合うための規程面の整備はされていますか? 
17 降格の法的ロジックが整理されていますか?「人事評価や経営判断としての人事異動」と「懲戒処分としての降格処分」は異なります。
18 固定残業代が曖昧な運用になっていませんか?

 

1 正社員と非正規社員(契約社員、パートアルバイト、嘱託社員)をしっかり区別していますか? 

非正規社員は、正社員と労働条件を区別することに人事政策としての意義があります。適用される規程を分けないと、このメリットが意義する恐れがあります

【正社員と区別される労働条件例】
・契約期間や更新条件の設定
・給与(時給制、手当の有無、賞与の有無、退職金の有無)
・所定労働時間
・人事異動の有無
・福利厚生(特別休暇、休職制度)

2021年4月1日より、全ての企業にパートタイム・有期雇用労働法が適用され、いわゆる同一労働同一賃金が実施されています。労働条件に差異を設ける際には、職務の内容(業務の内容と当該業務に伴う責任の程度)と職務の内容・配置の変更医の範囲などが相違している上で、不合理な待遇差がないことが前提となります。

【就業規則条文例(就業規則の適用範囲)】
1 就業規則は原則として正社員に適用する。
2 正社員以外については、次の区分に従い定めるものとする。
  (1)契約社員及びパートタイマーについては、「契約社員就業規則」及び労働条件通知書
    を適用する。
  (2)嘱託社員については、「嘱託規程」及び労働条件通知書を適用する。
  (3)限定正社員については、「限定正社員規程」及び労働条件通知書を適用する。
3 前条の各号の規程等に定めのない事項に限り、この規則を適用する。

 

2 労働関係はビジネスの契約関係であり、甘えは許されません。従業員と馴れ合いを防ぐ会社の考え方は入っていますか?

【就業規則条文例(正社員の責務)】
正社員とは、期間の定めのない労働契約による従業員であって、労働時間、職務の内容及び勤務地のいずれにも制約なく基幹的業務に携わる者であって、事業目的遂行のため直接担当業務のみではなく周辺業務及び管理業務を含めた職責を全うできる意識と能力を有する者をいう。

【就業規則条文例(債務の本旨に従った労務の提供、労使慣行)】
1 従業員は、この規則を遵守し、信義に従い誠実に権利を行使し、及び義務を履行すべきものであり、その債務の本旨に従った労務の提供をしなければならない。
2 従業員は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、これを濫用することがあってはならない。
3 会社は、個別の事情等を斟酌して、この規則その他社内規程を緩和して適用することができるが、あくまで個別判断による特例であり、これをもって労働慣行とはみなさない。

【就業規則条文例(不利益変更がありえること)】
この規則に定める労働条件は、法律の改正及び経営環境の変化その他の業務上の必要により、就業規則の変更手続により不利益に変更することがある。

 

3 問題社員を防ぐ「採用の3つの防波堤」は整備されていますか?

(1) 第一の防波堤=採用

就業規則の条文は特に変更は必要ないが、採用面接では、視点の異なる複数名の面接官がしっかり聞くことが大切です。法令やガイドラインに抵触するような内容を聞くことは不適切ですが、業務に関連して聞くべきところは遠慮せずにしっかり聞くべきです。採用後にトラブルになって「面接で聞かれなかったから答えなかっただけです」という抗弁に持ち込まれないようにしっかり確認をしましょう。

【確認しておきたい点】
・履歴書や職務経歴書に虚偽や事実を誇張した記載はしていないですか?(「盛る」という表現で誇張に走る応募者がいることは事実であるので。)
・身体的にも精神的にも、健康で働ける状況ですか?ご不安はありませんか?(理由は様々だが入社間もなく健康状態が悪化する事例は多い。そのような事例になると、会社の安全配慮義務の観点から、無理に働いて頂くこともできず、かといって就業規則上、有給休暇や休職も使えず、現実問題として雇用の継続が難しくなる旨をしっかり説明する。)
・その他勤務の継続に影響のある事情はありませんか?(勤務に影響のある問題があれば必ず事前に相談してもらう。)

(2) 内定管理

採用内定から入社日まで長い期間が発生するケース(特に新卒採用)は注意が必要です。内定後は、企業と内定者は片務的な関係(企業は内定に拘束されるが内定者は破棄してもペナルティはないに入りますので、安易な内定辞退に対する牽制として書面取り交わしを行うこと(内定通知書と内定承諾書の取り交わし)、内定取消事由については事前に明示しておくこと、なお、内定取消事由を就業規則に入れることはあまり意味が無いという意見もありますが、始期付解約権留保付労働契約が成立すると捉える判例の考え方に添って、労働者に準じて就業規則に定めた上で内定者にその該当部分を示しておくことは、企業としての考え方を明示して事前警告をするという意味では一定の意味は見いだされるものと考えます。

【就業規則条文例(内定取消事由)】
採用内定者が次の各号のいずれかに該当する場合は、内定を取り消し、採用しない。
(1) 入社日までに健康状態が採用内定時より低下し、職務に堪えられないと会社が判断したとき。
(2) 健康上の理由、身体的・精神的な理由又は個人的な事情等により、入社後に労働契約の本旨に従った労務提供が困難な状況となることが見込まれるとき。ただし、採用内定前にその旨を会社に申告していた場合はこの限りではない。
(3) 採用選考時の提出書類に偽りの記載をし、又は面接時において事実と異なる告知をしていたことが判明したとき。
(4) 採用内定後に犯罪、反社会的行為その他社会的な信用を失墜する行為を行ったとき。

判例チェック(大日本印刷事件 最二小判昭54.7.20)
【要旨】適法な内定取消事由は、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であって、これを理由として採用内定を取消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として認められるものに限られる。

(3) 試用期間管理

試用期間は多くの企業で設定されていますが、現実問題としてその運用は難しいものです。試用期間中に問題行動や職務へのミスマッチが確認された場合は、早期に指導改善に着手する必要があります。指導改善を尽くさずに、安易に試用期間解雇などは到底許されるものではありません。解雇を前提とするのであれば、指導経緯を書面化する等の紛争対応も必要になります。

【就業規則条文例(試用期間解雇)】
試用期間中の従業員が次のいずれかに該当し、従業員として不適格であると認めるときは、本採用を行わず解雇する。
(1) 欠勤、遅刻及び・早退が複数回発生し、会社が指導してもなお再発し、改善が見られない等、勤怠不良と認められるとき。
(2) 所属長の指示に従わない、同僚との協調性がない、仕事に対する意欲が欠如している等の状況が見られ、会社が指導してもなお改善が見られず、勤務態度不良と認められるとき。
(3) 必要な教育は施したが会社が求める能力に足りず、かつ、改善の見込みも薄い等、能力が不足と認められるとき。
(4)  健康状態(精神の状態を含む。)が悪化し、労働契約の本旨に従った労務提供が困難な状況となり、会社が指導しても改善が困難であると認められるとき。

(4) 企業の採用の自由と法令による制限について(ご参考)

三菱樹脂事件 最大判昭48.12.12
【要旨】企業には、経済活動の一環としての契約締結の自由があり、自己の営業のためにどのような者をどのような条件で雇うかについては、法律その他による特別の制限がない限り、原則として自由に行うことができる。

平成19年の改正雇用対策法
募集採用において年齢にかかわりなく均等な機会を付与すべき事業主の責務が努力義務から義務規定に変更された。ただし、期間の定めのない労働者を定年年齢を下回ることを条件に募集・採用する場合、新規学卒者を長期雇用のために募集・採用する場合、特定職種において特定年齢層の労働者が少ない場合にその年齢層の者を補うための募集・採用である場合などには適用されない。

男女雇用機会均等法5条
事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。
労働者のプライバシー侵害となる調査・質問(HIV検診など)に関しては、民法709条に基づき不法行為となる可能性がある。

厚生労働省の指針の第4(平11.11.17労告第141号)
「人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項」「思想及び信条」「労働組合への加入状況」に関する情報を収集してはならないとしている。

厚生労働省の指針(平16.7.1厚労告第259号) *個人情報保護法8条関係「雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針について」労働者の個人情報収集に関し個人情報の利用目的を具体的・個別的に特定すべきことを要求している。

4 人事異動と出向に従う義務は実用レベルに整備されていますか?

正社員である以上は人事異動を断ることができないというのは会社側の思い込みです。就業規則の根拠が必要です。近年は、勤務地限定正社員、職務限定正社員という、特約付きの正社員が一般的になっています。中小企業では人材が固定化しているケースが多く人事異動の事例が少ないケースはでは労働者側の認識として人事異動を想定していないことがあり、強い抵抗をされる可能性があります。

【就業規則条文例(人事異動)】
1 会社は、経営業務上の必要があるときは、従業員に人事異動を命ずることができる。
2 労働契約による限定又は正当な理由がない限り従業員は人事異動を拒むことができない。
3 人事異動とは、次のとおりとする。
(1) 配置転換: 同一事業場内での所属部門又は職種の変更
(2) 転勤(海外転勤を含む): 勤務地の変更を伴う所属部門の変更
(3) 役職・職位の任命及び解任
(4) 資格等級制度上の資格・等級の改定(昇格及び降格)
4 前項の人事異動に伴い、給与、諸手当又は労働時間等の労働条件が変更(不利益変更を含む)になる場合がある。詳細はこの規則及び給与規程による。

一般的な労働法の解説では、出向は労働者の同意なく包括規定で命令することができるとされていますが、時に労務トラブルの実務には通用しないことがあります。包括規定による出向命令の有効性については、裁判実務でも厳しい判断がなされる傾向です。

【就業規則条文例(出向)】
1 会社は、従業員に対し、業務上の必要性がある場合必要があるときは、他社に出向を命ずることができる。
2 出向先が、子会社又は関連会社でない場合は、出向期間は原則として3年以内とする。ただし、業務上の必要性がある場合その期間を2年間の範囲内で延長することができる。
3 会社は、出向命令を発する場合、原則として命令日の1週間前に内示する。
4 出向先での労働条件の内容は原則として出向元と同一とするが、就業規則の適用の関係で不利益が発生する場合、会社はその不利益の解消に努める。ただし、雇用確保を目的とする出向の場合は、原則として出向先の労働条件の内容を適用する。
5 出向元復帰の際は、原則として旧職務に復帰するものとする。ただし、旧職務への復帰が困難な場合又は不適当と会社が認める場合には、旧職務とは異なる職務に配置することができる。
6 従業員は、正当な理由がない限り、出向命令を拒むことができない

判例チェック(日本レストランシステム事件 大阪高判平17.1.25)
【要旨】出向命令を有効になしうるためには…、就業規則において…出向先の労働条件、出向期間、復帰条件に関する規定が整備され、その内容も労働者に著しい不利益を被らせるものではないことを要すると解すべきである。

5 外国籍対応は漏れていませんか?まさかのための反社会勢力対応は入っていますか?

【就業規則条文例(外国籍従業員)】
1 外国人従業員については、労働契約期間にかかわらず、労働契約は、就労可能な在留期間が満期となり在留期間更新が認められなかったときは、当該在留期間の満期をもって終了する。
2 前項に関わらず、在留期間の満期日までに外国籍従業員が適正に入国管理局に在留期間更新を申請し、受理された場合で、会社が必要と判断した場合は、在留期間の更新の可否が決定する日又は従前の在留期間の満期日から2か月を経過する日のいずれかの早い日を限度として労働契約を継続することがある。但し、この場合であっても、在留期間の満期の日以降は形態のいかんを問わず就業させず、またこの間は賃金の支払をしない。

【就業規則条文例(反社会的勢力排除)】
1 従業員は、反社会的勢力と一切の関係を持ってはならない。
2 反社会的勢力とは、暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係企業・団体、総会屋、社会運動等標ぼうゴロ等、特殊知能暴力集団等その他これらに準ずる者をいう。
3 採用内定者が、反社会勢力と関係を有していることが判明した場合は、内定を取り消し、採用しない。
4 従業員が、反社会勢力と関係を有していることが判明した場合は、退職、解雇又は懲戒処分とする。

6 コミュニケーション能力不足、常識不足社員への対応 ~ 指導の根拠として当たり前の内容でも明確に条文化できていますか?

【就業規則条文例(コミュニケーション及び報連相)】
1 従業員は、業務上のコミュニケーションの重要性を理解し、適切な言葉つかいと態度を心掛け、社内外の関係者と良好な関係を保たなければならない。
2 従業員は、個人的な好き嫌いを業務に持ち込まず、社内外の関係者に敬意をもって接し、情報共有や信頼構築を行い、健全な関係を構築できるようにしなければならない。
3 従業員は、上長への報告・連絡・相談を業務の一環として自主的に行わなければならず、タイミングが遅れないよう、要点をまとめ事実と意見を区別し結論から分かりやすく述べること等、的確に伝達するようにしなければならない。
4 業務上のミス、顧客や関係者からのクレームに関しては、決して隠蔽してはならず、軽微なものであっても直ちに上長に報告しなければならず、自己判断で処理してはならない。
5 身勝手な言動で周囲を困惑させたり、自分の価値観を周囲に押しつけたり、精神的な嫌がらせを行わないこと。(モラルハラスメント類似行為の禁止)

【就業規則条文例(ドレスコード)】
1 服装及び身だしなみは、清潔感を基本とし職種や職場にふさわしいものとしなければならない。会社が基準を定めた場合は、その基準に従わなければならない。
2 次に該当する服装及び身だしなみは禁止する。
(1) 業務の効率を阻害するもの
(2) 他人に不快感や奇異な印象を与えるもの
(3) 派手、刺激的、挑発的なもの
3 服装及び身だしなみが適当であるかどうかの判定は、従業員の主観ではなく、社会通念に照らして上長の判断により行う。
4 前項により適当でないと判定されたときは、会社は改善を指示する。改善命令に従わないときは、就業の禁止を命令することがあり、その期間は無給とする。

7 情報管理は会社のスタンスを明確に示していますか?(誓約書、情報管理、事業場内検査)

【就業規則条文例(提出書類)】
採用された者は、会社の指定した日までに、会社指定の様式にて、次の書類を提出しなければならない。提出を拒む者については、採用を取り消す場合がある。
(1) 身元保証書(会社により必要な場合のみ)
(2) 秘密保持に関する誓約書
(3) 情報管理に関する誓約書
(4) 個人情報の取り扱いに関する同意書

【就業規則条文例(秘密情報)】
1 従業員が、会社の職務上知り得る営業上・技術上の一切の情報を「秘密情報」と呼称し、次の各号の情報を含むものとする。
(1) 職務上知り得た情報の一切。(取引先や顧客に関する一切の情報を含む。)
(2) 会社の製品開発・製造及び販売における資料、企画・営業に関する資料、原価その他価格決定に関する情報
(3) 会社の財務、人事その他に関する情報
(4) 会社の取引先・関連会社の情報
(5) 業務委託、業務提携、共同開発その他に関する情報
(6) 以上のほか、会社が秘密と指定した情報
2 従業員は、在職中及び退職後においても一切の秘密を保持し、会社の許可を得た範囲を超えて、社外への持ち出し、第三者への開示、又は私的な使用をしてはならない。
3 従業員は、情報は会社の資産であることを理解し、厳密かつ慎重な取扱をしなければならない。
4 従業員は、自らが秘密情報の作成に関与していたとしても、その権利が自らに帰属する旨の主張はできない。
5 従業員は、人事異動又は退職に際しては、会社の指示に従い、秘密情報の記載された一切の資料について、原本はもちろん、そのコピー及び関連資料等を会社に返還し、自ら保有してはならない。また、秘密情報の記録されたデータ等についても、そのコピー等をも含め全て会社の指示に基づき消去し、または記録された媒体を会社に返還し、自ら保有してはならない。万一、返還漏れ又は消去漏れが退職後に判明したときは、直ちに会社に報告し、指示に従わなければならない。
6 従業員は、本条及び関連規定に違反したときは、懲戒解雇を含む懲戒処分の対象となる場合がある。なお、従業員の退職後であっても、違反行為により会社に損害が発生した場合には、会社は損害賠償請求、差止請求、信用回復措置請求又は刑事告訴などの法的処分を行う場合がある。

【就業規則条文例(情報端末)】
1 業務に使用されるコンピュータ、記憶媒体、ICカード、通信機器、端末機器、周辺機器及びその他の電子機器(将来的な技術進展により利用される可能性のある電子機器を含む。)を「情報端末」と呼称する。
2 従業員は、情報端末を使用する際には、次の各号を遵守しなければならない。
(1) 会社が認めた目的以外に使用しないこと。
(2) 会社の許可を得ていない私有の情報端末に秘密情報を入力しないこと。また、業務利用しないこと。
(3) 会社が指定したセキュリティ対策を実施すること。
(4) 会社が指定した以外のソフトウェアや拡張機能を導入しないこと。
(5) 会社の許可なく、会社の情報端末に私有の情報端末を接続しないこと。
(6) アクセス権限のない者が操作できないように適切な強度のアカウント及びパスワード設定をすること。ただし、会社が把握及び許可していないアカウント又はパスワードは絶対に使用してはならないこと。(裏アカウント使用行為として重大な不正行為とみなす。)
(7) GPSその他の手段による所在地確認機能を有効にすること。
(8) その他、情報端末に関する会社の指示や規則に従うこと。
3 会社は、業務上の必要がある場合は、従業員に貸与した情報端末を検査し、保存されたデータを閲覧・復元し、その他の手段により調査することができる。この調査は、業務上の必要性により実施されるものであるため、従業員は拒否することはできない。
4 従業員は、情報端末を操作する際には、これにより予期せぬ望ましくない事象(以下、「インシデント」という。)が生じる可能性があることを常に認識し、細心の注意を払って操作しなければならない。インシデントが発生した可能性がある場合は、直ちに会社に報告し、被害抑制に努めなければならない。
5 従業員は、本条及び関連規定に違反したときは、懲戒解雇を含む懲戒処分の対象となる場合がある。

【就業規則条文例(情報通信)】
1 インターネット通信、電子メール、チャットアプリ、ソーシャルネットワーク等の通信技術(将来的な技術進展により利用される可能性のある通信技術を含む。)を「情報通信」と呼称する。
2 業務上の情報通信については、適切な強度のアカウント及びパスワード設定をすること。事故防止の観点から、セキュリティが確保されない情報通信は行わないこと。
3 業務中は、業務に関係のない情報通信や私的な情報通信をしてはならない。
4 会社は、従業員の情報通信の適正化を図るため、情報通信の制限をする、情報通信の内容のモニタリングを行う、又は履歴等を調査することができる。この調査は、業務上の必要性により実施されるものであるため、従業員は拒否することはできない。
5 従業員は、私的な情報通信において、次の各号に該当する情報を発信してはならない。ただし、会社の許可を受けた場合はその限りではない。
(1) 会社の名称、事業内容の他、会社で勤務をしていることを窺わせる情報
(2) 会社の施設、書類、従業員等に関する情報
(3) 会社の取引先及び顧客に関する情報
(4) 会社の秘密情報に関連する情報
(5) 会社に信用失墜、情報漏洩を発生させ、損害を与える恐れのある情報
(6) 会社に関連しない内容であっても、人種や宗教、性別等に関する中傷、特定の個人に対する侮辱やプライバシーを侵害する内容、わいせつな内容、その他法令及び公序良俗に反する情報
6 前項に違反し、会社が不適切な情報発信と判断した場合は、従業員に対して、情報発信の削除・修正を指示する場合があり、従業員はこれに従わなくてはならない。
7 従業員は、本条及び関連規定に違反したときは、懲戒解雇を含む懲戒処分の対象となる場合がある。

【就業規則条文例(事業場検査)】
1 会社は、従業員に貸与しているデスク、ロッカー、ファイル、資料、情報端末及びその他物品について、業務上の必要性がある場合は、閲覧、確認又は検査をすることができる。これは、業務上の必要性から実施されるものであるため、従業員は拒否できず、緊急の場合は、従業員の不在時に実施される場合がある。
2 会社は、必要に応じてその理由を明示のうえ、所持品の検査を行うことができる。従業員はこれに協力しなければならない。
3 退職者又は欠勤者等(連絡が取れない者を含む)が事業場内に残置した物品については、業務との関連の有無を問わず、会社はその内容を確認することができる。本人の申出があるものについては、可能な限り返却するものとするが、返却が困難な物品又は退職又は欠勤から1か月を経過しても返却の申出のない物品については、会社は任意に処分することができる。

8 変形労働時間、休日、休暇は実態に合った不整合のない規定になっていますか?安直な規定は未払残業の温床になります!

【確認しておきたい点】
◆変形労働時間制(特に1年単位変形)についてはデメリットもあるので、安易な適用をしない。(36協定の上限が月42時間、年320時間になる、30日前のシフト通知が必要、シフト変更は原則不可、入退職時の精算をしなければならない。)
◆法定休日(135%割増になる休日出勤)は「1週1休制」または「4週4休制」でルールを明確にして、会社で把握できる状況にする。
◆所定休日(土・日・祝など)と特別休暇(夏期休暇、年末休暇、年休の計画付与)を区別し、年間の所定休日数と所定労働日数を確定する。年間休日カレンダーは労働基準監督署の臨検で必ず確認されるので正しく作成する。

【労働基準監督署が必ずチェックする“残業代の正しい計算式”】
残業代 = 基準内給与 ÷ 月平均所定労働時間 × 125% × 時間外労働時間数
月平均所定労働時間 = 年間所定労働日数 × 1日所定労働時間数 ÷ 12

9 労働時間とそうでない時間の区分はなされていますか?(残業許可制、出張時間、健康診断)

【就業規則条文例(時間外労働)】
1 従業員が業務上の都合により、時間外労働が必要と判断した場合は、所定の手続により、上長の許可を受けて行わなければならない。
2 上長の許可を受けず、時間外労働又は休日労働が行われた場合は、調査等において業務上必要であったと明らかになった時間を除き、原則として労働時間とは認められない。
3 無許可の時間外労働又は休日労働が継続的に行われていることが判明した場合、会社はその改善を求めるものとするが、改善が見られない場合は、一切の時間外労働又は休日労働を禁止し、又は懲戒処分を行う場合がある。

【就業規則条文例(労働時間)】
1 始業時刻とは、所定の就業場所で業務を開始(実作業の開始)する時刻を指し、終業時刻とは、業務の終了(実作業の終了)の時刻を指すものとする。
2 出張及び社外業務における移動時間は、会社の業務指示がない限りは労働時間には含まれないものとする。

【就業規則条文例(健康診断の時間)】
1 常時雇用される従業員に対しては、毎年1回定期健康診断を行う。
2 受診に要する時間は、会社が指示する日時及び場所で受診した場合は労働時間とみなすが従業員の判断で、それ以外の日時及び場所に受診した場合は労働時間とならない。

10 有給休暇の規定はひな型そのままになっている可能性大!運用実態に合った条文になっていますか?

【確認しておきたい点】
◆年次有給休暇の5日義務化の対応は、行政から公開されている文例を参考に条文に追加する。就業規則の整備のみで安心せずに、年次有給休暇管理台帳を作成して進捗管理をする。(5日義務化への企業対応が行われていない場合は、労働基準監督署の是正勧告の対象になるケースが多い。)
◆基準日方式はいくつかパターン(最初の付与のタイミングと2年度目以降の付与日) があるので、運用実態を確認し条文と一致させる。法定の付与日数より不利益になっている箇所がないかどうかを検証する。
◆契約社員・パートタイムの就業規則には、比例付与の規定を忘れずに入れる。そうしないと短時間労働者にもフルタイム並みの日数が付与されると解釈されてしまう懸念あり。
◆付与日と時効消滅日を明確に定め、繰越分と当年分のどちらから消化するかも明文化すること。
◆有休買取は法令上許されないので、就業規則に記載しない。ただし、退職日が確定後 退職により消滅してしまう年次有給休暇を任意の労使交渉で買取することは差し支えないとされている。
◆有休の計画付与は会社にとって便利だが、一方的に行うと従業員の不信感につながる。就業規則への記載はもちろんのこと、労使協定を締結し、年間休日カレンダーと合わせて丁寧に社内説明を行う。また入社時の説明で「有休の一部は会社の指定日に一斉にとっていただくことになっ ている」と説明しておくことも忘れずに。
◆年次有給休暇関連は総じて権利性が高い論点なので、会社側のコンプライアンス感覚や規程整備が行き届いていない場合には労働者からの指摘を受けやすく、ブラック企業批判につながりかねない論点ですので注意すべき。

11 企業現場では様々なことで休業が発生する可能性があります。あらかじめ就業規則に「休業への対応方針」を明示していますか?(特に賃金の支給について)

事案 賃金支払いに関する一般的対応(例)
休職期間中 無給とする。
育児介護休業、産前産後休業、裁判員休暇など 無給とする。
会社の経営上の理由その他会社の都合による場合 原則として、民法第536条第2項を排除し労働基準法第26条の休業手当(平均賃金の6割)を支給する。ただし、会社の判断により通常の賃金を支払う場合がある。
不可抗力等で、会社の責めに帰さない事由による自宅待機命令の場合 原則として無給とする。ただし会社の判断により通常の賃金を支払う場合がある。
会社の都合で在宅勤務を命じた場合 通常の給与を支給する。
伝染病(法定伝染病のみならず、インフルエンザ等も含む)による休業 無給とする。
懲戒処分審議中の就業拒否期間(不正行為再発防止、証拠隠滅の恐れがある場合)の自宅待機 無給とする。

※【参考】民法536条(債務者の危険負担等) 第2項
債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。この場合において、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。

12 休職トラブル激増中!実務運用に耐える条文になっていますか?

【確認しておきたい点】
◆休職期間満了後の自然退職処理を行う上で、無理のない期間設定になっているか。短すぎると会社の配慮不足を指摘され、長すぎると濫用される恐れがある。原則的な期間を設定し、その後は医師の診断書等を参考に療養に必要な範囲で延長検討するような条文の作り方が望ましい。(逆に言えば、療養の実態がないとか、回復の見通しが立たないといった状況には休職はミスマッチになりやすい。)

◆条文の書き方に注意。休職は法令上の権利ではなく、会社任意の福利厚生制度(療養支援や退職猶予のため)なので、会社側主導(判断、発令等)による制度になっているか。(年次有給休暇や育児介護休業などの法令上の権利とは異なるので、労働者からの要求が主導になるような設計にしないことが一般的。)

◆休職期間中の不誠実な態度、信頼破壊行為への想定がされているか。
・治療目的から逸脱する行動及び会社の信用を失墜させるような行為が認められた場合
・従業員が正当な理由なく状況報告を怠り又は拒否した場合
・休職期間中の社会保険料の従業員負担分の未納が発生した場合

◆復職判断は、主治医の意見とは別途、会社の産業医等の意見を聴取する体制になっていて、業務上の基準(労働契約の本旨に従って本来の業務遂行が問題なくできること)に従い、会社が主体的に判断できる条文になっているか。

◆休職期間満了による自然退職が、解雇と混同されるような条文になっていないか。(現実問題として納得しない労働者が不当解雇を訴えてくることはあったとしても、会社としては、自然退職と解雇は区別して考え、その違いを丁寧に労働者に説明する必要がある。離職票の記載内容も異なってくる。)

13 実務的に多い退職事由「合意退職」「行方不明退職」を想定した条文を入れていますか?

【就業規則条文例(退職)】
従業員が、次の各号のいずれかに該当するときは退職とする。
(1) 休職期間が満了しても休職事由が消滅しないとき
(2) 従業員の行方不明又は音信不通等により、暦日で30日以上連絡がとれないとき
(3) 退職につき労使双方が合意したとき

14 現在は対象者がいなくても、定年と嘱託社員(継続雇用)のルールはあいまいになっていませんか?

【就業規則条文例(定年及び継続勤務)】
1 従業員が満60歳に達した日を定年とし、60歳に達した日(満60歳の誕生日の前日)の属する給与計算期間の末日を定年退職日として退職とする。
2 定年に達した従業員が希望する場合は、定年退職日の翌日を起算日として、最長65歳に達する日まで嘱託社員として継続雇用するものとする。
3 嘱託社員契約は、原則として1年間の有期労働契約とし、会社は当該労働契約の更新に際しては、次の各号の判断基準により、更新の有無を判断するものとする。
(1) 本人の健康状態
(2) 本人の能力、勤務状況、成績
(3) 契約期間満了時の業務量
(4) 会社の経営状況
4 嘱託社員の労働条件は、更新の都度見直すものとし、嘱託社員が会社の提示する労働条件に合意した場合に限り、更新するものとする。

15 事業場内の健康管理の観点からの「就業禁止」の条文は入っていますか?

【就業規則条文例(就業禁止)】
1 会社は、安全配慮義務の観点から、次に該当する者については、その就業を禁止する。なお、状況については、会社に直ちに報告をしなければならない。
(1) 本人及び同居の家族が、法定伝染病にかかった恐れがある場合
(2) 本人及び同居の家族が、伝染性の疾病(インフルエンザ等)にかかった恐れがある場合
(3) 勤務により従業員自身の病気や体調が悪化する恐れがある場合
2 会社は、安全配慮義務の観点から、次に該当する者については、その就業を禁止することがある。
(1) 従業員の心身の状況が勤務に適しない又は安全に勤務することが困難であると判断したとき。
(2) 従業員に対して医師から、勤務を控えるべき旨の指示があったとき。
(3) 従業員に対して、公の機関から外出禁止又は外出自粛の要請があったとき。
3 前二項の規定により、就業を禁止された期間は、無給とする。ただし、会社の判断により、特別休暇を付与し、又は在宅での軽易な業務を命ずることができる。

労働契約法第5条(労働者の安全への配慮)
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

16 「問題社員に対する業務改善指導」に向き合うための規程面の整備はされていますか?

入社日から会社の業務に馴染むまでの期間は、「労使の期待値の相違」「仕事のカルチャーの相違」により、業務に対してミスマッチな状況が発生することが多くなります。
会社として方針やポリシー無く、個別対応による叱責を行ってしまうと、労働者側からハラスメント問題として反撃をされるケースが多くなります。
厳しい業務指導を密室的環境や口頭で行うと、指導内容よりも表現や言い方の問題が取り上げられやすくなります。厳しい業務指導になるほど会社のスタンスを明確にして書面でオープンに行っていくことが、ハラスメントトラブルを防止することになります。

【就業規則条文例(業務指導)】
1 会社は、業務遂行及び会社の秩序維持に関連して従業員に指導又は注意が必要と判断する場合は、次の措置を講ずることができる。
(1) 従業員に口頭での業務指導、注意を行うこと。
(2) 従業員に書面での業務指導、注意を行うこと。
2 前項の措置に対して改善が見られない場合は、会社は懲戒処分、解雇又は退職勧奨を含む人事上の措置を講ずる場合がある。

【就業規則条文例(業務改善報告)】
1 会社は、従業員の勤務状況又は成績が不振であり、従業員の勤務状況の改善が必要と認める場合は、次の措置を指示することができる。
(1) 業務改善報告書の提出
業務の状況、顛末、事実関係を整理して報告した上で具体的に改善をするための行動について報告するもの。
(2) 業務改善計画書の提出
勤務状況又は成績が不振である要因を分析し、改善のための目標及び行動計画を報告するもの。会社の求めに応じて、計画の進捗状況も、定期的に報告しなければならない。
(3) その他必要な書面
2 前項の指示を受けた従業員は、会社の指定する書式(指定がない場合は任意書式)にて、具体的かつ実質的な内容のある記載をしなければならない。記載が不十分なものは、会社は、再度提出を指示することができる。
3 提出を怠り、提出期日を守らない、又は記載が不十分等の理由により、改善が期待できない場合は、会社は懲戒処分、解雇又は退職勧奨を含む人事上の措置を講ずる場合がある。

17 降格の法的ロジックが整理されていますか?「人事評価や経営判断としての人事異動」と「懲戒処分としての降格処分」は異なります。

【就業規則条文例(人事異動)】
1 会社は、経営上の必要があるときは、従業員に人事異動を命ずることができる。
2 労働契約による限定又は正当な理由がない限り従業員は人事異動を拒むことができない。
3 人事異動とは、次のとおりとする。
(1) 配置転換: 所属部門又は職種の変更
(2) 転勤(海外転勤を含む): 勤務地の変更を伴う所属部門の変更
(3) 役職・職位の任命及び解任
(4) 資格等級制度上の資格・等級の改定(昇格及び降格)
4 前項の人事異動に伴い、給与、諸手当又は労働時間等の労働条件が変更(不利益変更を含む)になる場合がある。
5 資格等級制度の運用については、人事評価規程による。

【就業規則条文例(人事評価)】
1 会社は、別途基準を定め、人事評価を行い従業員の処遇を変更することができる。
2 人事評価は、職務内容、職務能力、職責、成績、勤務態度等の要素を総合的に考慮して行うものとする。会社が別途人事評価制度を定めた場合はその内容による。
3 人事評価により会社が必要と認める場合は、給与の改定(減額や廃止等を含む)、職種及び配置の転換その他人事異動を行うことができる。
4 人事評価の結果が不良である場合は、業務指導や改善のための人事上の措置が実施されるものとするが、なお改善が見られない場合は、会社は懲戒処分、解雇又は退職勧奨を含む人事上の措置を講ずる場合がある。

【就業規則条文例(懲戒の種類、程度)】
1 懲戒の種類及び程度は、その情状により次のとおりとする。
(1) 譴責
(2) 減給
(3) 出勤停止
(4) 降格
始末書を提出させるとともに、職位若しくは資格等級の一方又は双方の引き下げを行う。これにより、給与、諸手当が減額され又は不支給となる場合がある。
(5) 諭旨解雇
(6) 懲戒解雇
2 懲戒の手続については、別条に定めるとおりとする。

18 固定残業代が曖昧な運用になっていませんか?

固定残業代は多くの企業に導入されているものですが、本来の法令上にない制度であり、労使合意(就業規則、労働契約)を根拠に認められているものです。そのため合意内容が不明確な制度運用を行ってしまいますと、残業代の支払いとしての効果が事後的に否認されるようなリスクがあります。

【固定残業代の設計において外せない4大ポイント】
① 明確区分性(基本給と固定残業代が明確に区分されていること)
② 対価要件(割増賃金の対価という主旨で支払われていること)
③ 差額支払合意(固定残業代を超える割増賃金が発生した場合は差額を支給する)
④ 手当金額及び残業時間数の明示(賃金規程、労働条件通知書、給与通知書等)

【就業規則条文例(業務手当)】
1 業務手当は30時間分の時間外割増手当として支給するものとし、その金額は個別に定めて通知する
2 実際の時間外労働時間数が30時間に満たない場合であっても業務手当は減額しないものとし、実際の時間外労働時間が30時間を超えるときは、超過分につき、別途時間外割増手当を計算して支払うものとする。
3 業務手当は時間外割増手当として割増賃金計算の基礎となる基準内給与には含まれない。
4 給与計算期間の途中に入社、退職、休職、復職又は欠勤が発生した場合は、業務手当を日割計算又は欠勤控除して支払う。ただし、給与計算期間の全部を休業した場合は、業務手当は支給しない。
5 育児・介護休業法の定めにより、育児・介護休業中の者又は育児・介護時短勤務中の者については、本条の手当は支給しない。その他の理由により、時間外勤務を行わない前提で勤務する者も同様に、本条の手当は支給しない。
6 法定休日割増賃金及び深夜割増賃金は、本条の手当とは別途所定の定めにより支給する。

実施スケジュール例

  • STEP.1

    お客様よりお問い合わせ
    (webフォームより)

    ※※※ 全国エリア対応 ※※※
    弊法人は、オンラインでのコンサルティング事例が豊富です
    事務所エリア(東京・大阪・及び隣接都道府県)以外のお客様からのお問い合わせは大歓迎です。東京・大阪での豊富な実施事例(上場準備や労基署対応の事例を含む)をもとに、高品質業務を、オンラインサービスで低コストにてご提供可能です。
    地元の先生に依頼しにくい、既存の先生のフットワークが悪い…など、ご事情に合わせて対応させていただきます。お気軽にご相談ください。

  • STEP.2

    無料相談(オンライン面談又はご訪問にて)

    差し支えない範囲で貴社状況をご教示いただき、弊社実施例に照らして情報提供やご提案をさせていただきます。

    無料相談内容(例)
    ・現在の状況
    事業内容、労働者数、勤怠管理や給与関係の状況、過去の規程の状況など、貴社の状況をお教えください。

    ・ご要望
    優先的に対応したい課題、取り入れたい制度、作成を希望する規程など、貴社のご要望をお教えください。

    ・人事労務に関する質疑応答
    可能な範囲で、他社事例等を交えながら、貴社のお役に立てる情報を提供させていただきます。様々な課題(スタートアップ立ち上げ、IPO、M&A、労基署対応など)への対応も含め、就業規則整備に関連することであれば何でもお気軽にお尋ねください。

    ※無料相談に際して、事前に既存規程をデータ提供いただけますと状況が把握しやすいため具体的なお話がしやすくなります。(社会保険労務士法に定める守秘義務に添って適正に管理させていただきますが、先行して秘密保持契約書を締結させていただくことも可能です。担当の社会保険労務士にご相談ください。)

  • STEP.3

    ご提案
    お見積

  • STEP.4

    お客様にて
    ご検討

    ご不明点やご要望がございましたらお気軽に担当の社会保険労務士にご確認ください。

  • STEP.5

    ご発注
    ご契約

  • STEP.6

    キックオフミーティング
    (オンライン面談/訪問面談)

    ・現状の課題確認(規程状況、労務管理状況)
    ・支援実施方針のご相談
    ※無料相談で概ね完了している場合は省略可能です。

  • STEP.7

    ドラフト作成
    (弊法人にて作業)

    貴社ご検討の土台となる規程ドラフトを作成いたします。

  • STEP.8

    検討ミーティング
    (オンライン面談/訪問面談)

    ドラフトの読み合わせをしながら、内容説明や貴社ご要望のヒアリングを実施いたします。
    ※実施回数は実施内容によりお見積させていただきます。

  • STEP.9

    仮納品(お客様側で内容の最終確認)

    最終ドラフト(仮)をデータ納品させていただきます。

  • STEP.10

    確定ミーティング
    (オンライン面談/訪問面談)

    ・お客様検討結果による修正協議
    ・社内合意、届出方法についてご相談

お見積もり例

※価格表示は全て(税別)です。

就業規則、社内規程及び労使協定は、何をどこまで実施するかによって工数が大幅に変動しますので一律の固定価格のご提示が難しいのですが、いずれの場合でも、お客様の目的に添って最適で効率的と考えられる実施プランをご提案させていただきます。

※※※ 全国エリア対応 ※※※
弊法人は、オンラインでのコンサルティング事例が豊富です
事務所エリア(東京・大阪・及び隣接都道府県)以外のお客様からのお問い合わせは大歓迎です。東京・大阪での豊富な実施事例(上場準備や労基署対応の事例を含む)をもとに、高品質業務を、オンラインサービスで低コストにてご提供可能です。
地元の先生に依頼しにくい、既存の先生のフットワークが悪い…など、ご事情に合わせて対応させていただきます。お気軽にご相談ください。

CASE1
【ご依頼】
スタートアップ企業です。初めて就業規則を作成しますので、届出などの法律的な手続きまで含めて助言をお願いします。企業規模が小さいのでコスト感を重視しています。

【ご提案趣旨】
実施内容は「従業員数に関わらず必要な規程類」に絞り込み、弊法人で必要なドラフトをお作りします。ミーティングは「ドラフト検討ミーティング」と「内容確定と届出等のご案内」の2回でプランしました。お客様側の負担は最小限で、最大効果を狙っていきます。

実施内容 お打ちあわせ回数 お見積例

・就業規則 新規作成

・給与規程 新規作成

・育児介護休業規程 新規作成

・36協定 新規作成

※その他労使協定もひな型提供

訪問MTG 2回

一式350,000円

オンラインMTG 2回

一式280,000円

 

CASE2
【ご依頼】
これまで社内事情で就業規則を改定することができなかったのですが、経営陣が変わり、就業規則の見直しの指示を受けました。これまでいろいろと悶々としてきたところもありますので、法改正チェックや条文の抜け漏れを社外の専門家の目でしっかりチェックしてもらいたいです。本当は、他の規程もフルレビューしていただきたいのですが、性急な動きで社内に動揺を起こしたくないことと、コストの関係上、まずは就業規則からの段階的な見直しを考えていますので、その点の考慮をお願いします。

【ご提案趣旨】
ご担当者様が、課題の全容を認識された上で「まずは手始め」に就業規則の見直しを検討されていることから、レビューと改定ドラフト作成によってご担当者様の業務を支援することに注力し、MTGは1回としてコスト感のあるご提案とさせていただきました。(ご担当者様は、長年こちらの企業で人事労務担当をしておられるとのことで、基本的な法令知識や届出等は理解されておられるとの事情を考慮。)

実施内容

お打ちあわせ回数

お見積例

・就業規則(給与部分除く) 全面改定

オンラインMTG 1回

一式200,000円

※特記事項として、その他規程を追加発注いただく場合は、割引価格のご提供を付記します。

 

CASE3
【ご依頼】
IT企業です。試験的に実施していたテレワークについて実施要件を定めて恒久的な制度にしていきたいと思います。テレワーク規程を作成しようと思ったのですがよいサンプルが見当たらず、他社事例豊富な社会保険労務士にお願いすることにしました。就業規則や他の規程には特に問題はありません。なお、外国人エンジニアが存在しますので、規程の英訳版も作成していただきたいです。

【ご提案趣旨】
テレワークについては、実施事例やノウハウが急速に変化している領域ですので一般的なサンプル集のひな型では不足感があろうかと思われます。他社実施例をベースにした実践的なテレワーク規程のドラフトを作成し、その内容説明をするためにミーティング1回を開催させていただきました。なお、日本国内の企業であり日本の労働法令が適用されるため、規程原本は日本法令に基づき日本語で作成した方がよいのですが、社内説明用に参考英訳をご用意した方が外国人エンジニアの理解が進むと思われますので合わせてネイティブによる英訳作成もいたしました。

実施内容

お打ちあわせ回数

お見積例

・テレワーク規程 新規作成

オンラインMTG 1回

一式100,000円

※英訳費用は文字数に応じて別途見積

リンク: 就業規則(外国語版)について

 

CASE4
【ご依頼】
当社から始めて産休育休を取得する社員が出ました。育児介護休業規程は行政のひな型をそのまま使った規程を作成しているのですが、会社側も内容を理解していません。法改正などのチェックに合わせて、内容の解説や運用の説明をお願いできないでしょうか。

【ご提案趣旨】
育児介護休業規程については、行政のひな型をそのまま使う企業が多いのですが、近年法改正が多くなっていますので、アップデートがされていない可能性があります。また、条文が極めて分かりにくい法令なので、「会社側が規程内容を理解できていない」ことがよく起こります。そうしたご要望にお応えして、規程の改定確認と運用解説をミーティング1回で実施させていただき、社内実務で使用する書式のご提供をさせていただきます。
なお、社会保険料免除手続、出産手当金や育児休業給付金の手続については、企業のご担当者様が申請書で行うこともできますが、もし難しいようであれば、弊法人の社会保険労務士による電子申請で効率的に行うこともできますので、合わせて代行業務の費用もお見積させていただきました。

実施内容

お打ちあわせ回数

お見積例

・育児介護休業規程 全面改正及び運用解説

・関連書式のご提供

オンラインMTG 1回

一式100,000円

※申請代行業務は別途見積

 

CASE5
【ご依頼】
将来的なIPOを検討している企業です。規程類は、担当者がひな型をかき集めてとりあえず揃えたのですが、内容も届出等の手続もほぼノータッチです。全面的な整備を支援して欲しいのですが。

【ご提案趣旨】まずは、規程や協定類の内容及び有効性確認が必要と考えましたので、現存する資料をご提出いただき確認いたしました。状況としては、就業規則のみ届出はされていましたが、ひな型そのままの内容で実態との整合性に乏しく、その他規程はドラフト状態で放置されていて、必要な労使協定も不足している状況です。内容によっては、ひな型の出所や信頼性が怪しいテキストも混じっているので、そうしたものは破棄して、弊法人から提供のドラフトで全文置き換えを提案させていただきました。
作業工数が大きいため、いったん実施内容とスケジュールをリストアップさせていただき、4か月の実施期間で支援計画を立案いたしました。

実施内容

お打ちあわせ回数

お見積例

・就業規則

・給与規程その他諸規程 約15点

・各労使協定 約5点

全体を4ブロックに分割して、実施期間中に月1回ペースでMTGを実施(オンライン/訪問)

一式500,000円~

 

就業規則(外国語版)について

外資系企業の日本進出、海外の高度人材や技能実習生が日本国内で働くことが多くなり、就業規則などの人事労務関係のテキストについて外国語訳のご要望をいただくことが多くなっています。弊法人においては、そうした実施例も数多くございますが、「外国語=グローバル対応」という単純な話でもございませんので、外国語版作成についての前提事項についてご説明させていただきます。

1 「言語が外国語版」と「内容が海外法令準拠」の違い

前者は一般に「日本の就業規則を外国語訳したもの」を指しますが、後者は、言語が外国語であるばかりではなく海外の法令適用を前途した「海外の労働契約」を指します。

「英文就業規則・英文労働契約書の作成検討」というご相談は多いのですが、「言語が外国語版」と「内容が海外法令準拠」のどちらを必要としているという状況判断がお客様側で必要になります。これは、発注する相手を間違えないために重要な判断だからです。

結論から言いますと、後者については現地ローカルの弁護士や専門家への依頼をすることが一般的かと思われます。これは逆パターンを考えてみますと自明なのですが、例えば、米系企業の日本子会社法人で経営陣は米国本社から送り込まれた米国人ということはよくあることですが、日本子会社として就業規則を作成するとなれば、現地ローカルの日本人の社会保険労務士に依頼して作るのが自然だと思います。これは、単にバイリンガル対応の問題ではなく、日本の労働法令への対応があるためです。

これを、米系企業本社が「本社にとっての相談のしやすさ」にこだわってしまい、日本の労働法令と日本語を理解する米国内の専門家を探して日本の就業規則を作成させるというのは、発注先としてもコストのかけ方としても何か間違っているという印象を受けるのはないでしょうか。(これと同じことをしようとする日系企業の人事担当者が意外に多いことに注意が必要です。)

2 弊法人のサービス領域について

弊法人では、日本国内の事業場で勤務する労働者の人事労務管理をご支援の対象としています。法の適用に関する通則法第12条によると次のようにあり、労働契約については、特段の事情がない限りは、「労務を提供すべき地」または「労働者を雇い入れた事業所の所在地」が適用されると定められています。これは多くの場合は日本国内を指すことになると思われます。

法の適用に関する通則法第12条(労働契約の特例)
労働契約の成立及び効力について第七条又は第九条の規定による選択又は変更により適用すべき法が当該労働契約に最も密接な関係がある地の法以外の法である場合であっても、労働者が当該労働契約に最も密接な関係がある地の法中の特定の強行規定を適用すべき旨の意思を使用者に対し表示したときは、当該労働契約の成立及び効力に関しその強行規定の定める事項については、その強行規定をも適用する。
2 前項の規定の適用に当たっては、当該労働契約において労務を提供すべき地の法(その労務を提供すべき地を特定することができない場合にあっては、当該労働者を雇い入れた事業所の所在地の法。次項において同じ。)を当該労働契約に最も密接な関係がある地の法と推定する。
3 労働契約の成立及び効力について第七条の規定による選択がないときは、当該労働契約の成立及び効力については、第八条第二項の規定にかかわらず、当該労働契約において労務を提供すべき地の法を当該労働契約に最も密接な関係がある地の法と推定する。

弊法人においては、労働者の国籍や言語にかかわらず、「日本国内の事業場で勤務する労働者については、日本の労働法令が適用されることが一般的である」という前提に立ち、日本の法令に基づいて就業規則を日本語原本で作成し、必要に応じて、社内用にその英訳を提供するというサービスを実施しています。

※なお、日系企業に勤務している労働者が、日系企業の海外子会社に出向して勤務する形態(いわゆる「海外出向」「海外駐在」)については、別途検討が必要になりますので、こちらをご覧ください。

リンク:ガルベラの海外赴任.com
https://www.kaigairoumu.com/

3 就業規則などの外国語版対応について

翻訳原本

日本法令に基づいて作成された日本語テキスト

※就業規則、社内規程、労使協定、労働契約書、社内通知文書、ビジネス文書等

翻訳言語

英語、中国語

※英語、中国語のネイティブが作業を担当いたします

費用

文字数に応じてお見積(単価はテキスト難易度による)

納期

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